水耕栽培の可能性
メタン発酵や炭化技術の課題のひとつは発生する水分の処理方法です。窒素などの栄養素が高いためそのまま下水や河川に放流することはできないメタン発酵の残さの水分は曝気処理などが必要です。また、従来の炭焼き製法では竹・木酢液が発生し、これは動物の回避、害虫対策、土壌改良、入浴剤、消臭・殺菌などに活用できます。
一方、HTCから発生する水分は木酢液の様な独特な匂いもなく、高い栄養分を含むため液肥転用の他にそのまま水耕栽培に生かすこともできます。ドイツで運転中の設備には温室が隣接しており、ここに処理水を流し込みエネルギー作物を育てています。投入される原料の一部として資源循環サイクルを更に高度なものにすると同時に、高い水分吸収性と素早い成長が特徴の植物を選ぶことで水分の処理問題を回避できます。また、減圧蒸留によって農作物に合った液肥に調整する事もできます。
また、下水汚泥をHTC処理した場合に存在し得る重金属などの吸収・回収・濃縮に適した植物も選択可能です。用途に合わせた植物の選択をお勧めします。